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焼肉の余韻にずっと浸りたい〜焼肉の味がする歯磨き粉の開発〜

2015年2月17日
肉ラボ研究員:喜多 雄亮

1.問題提起

 焼肉の味、見た目、ニオイ。
 これまで様々な肉の分野を分析・研究してきた我々であるが、魅力を語るうえで外せない要素がある。
 それは、焼肉後もしつこく口中に残る味(聞こえが悪くなってしまうが)つまりは口臭のことだ。
 空腹が満たされたという満腹感、そして焼肉後の余韻である「しつこい肉の味」が、消費者に「確かに焼肉を食べた」感を与え、肉を食べた人は幸せで満たされるのである。
 だが、みなさんの中にこんな経験をした人はいないだろうか。
 「満腹感」と「しつこく残る肉の味」で食後の余韻に浸りながら席を後にし、レジへと向かう。心身ともに何もかも満たされた気分になりながら、お会計を済ませ財布をしまおうとした次の瞬間。

 「こちら、ニオイ消しになります。どうぞ」

 と言われながら手渡されたのは、強力ミントガム。
 そう、「口に残る焼肉の味」という余韻を丸ごと吹き飛ばす兵器をもらってしまうのだ。
 というか、ミントガムをもらわずとも、少なくとも寝る前までには絶対に歯磨きをしなくてはならない。つまり、肉の味を永久に噛み締め続けることは、どう努力しても不可能という事になってしまう。

 いくら強烈な肉の味とニオイが口に残ろうと、いずれはミントできれいさっぱりするのが運命というもの。しかし、どうしても焼肉の余韻を諦めきれなかった研究員達は、味を半永久的に持続させるべく研究に乗り出した。

2.仮説

↑味のデータを測定している様子。機器を用いた本格的なシミュレーションを行った。


 焼肉完食後もミントを味わうことなく、末長く肉の余韻に浸りたい。
 もっともミントガムをもらった場合は、噛まずにしまっておけば済むだけの話だが、問題は、いずれ行わなくてはならない歯磨きの時である。
 歯を磨いてしまうと、どうしても口臭が洗い流されてしまうが、名残惜しさのあまり歯のメンテナンスを怠ってしまうようでは、口中がくさいニオイで満たされ、瞬く間に細菌が繁殖し、清潔な白色の歯が黒ずんでゆき、虫歯から歯槽膿漏へと悪化し、果ては全ての歯を失ってしまう。
 かといって、みすみす焼肉の余韻を洗いざらい取り除いてしまうのは、あまりにも切なく、断腸の思いにならざるを得ない。
 いかに健康的に焼肉の余韻たる味を残せるかを今回のテーマに設定し、我々は仮説を立てた。

 ーー焼肉の味がする歯磨き粉を作ってしまえば、味が消し飛んでしまう心配はないのでは?ーー

 そう。歯をきれいにするついでに、口臭もリセットしてしまうのが歯磨き粉の常識。ならば歯だけきれいにして、味だけ強烈に残すような商品があってもおかしくはない。現に、子供用の「チョコレート味の歯磨き粉」などが存在するではないか。
 というわけで、さっそく実験開始である。

3.実験

【検証現場】 国立お肉研究所 ケミカルメタボロース情報センター3F O-29実験室
【準備物】 歯磨き粉4種類,焼肉のタレ3種類
【研究班人数】 3名
モルモット協力者数】 1名

▼最終目標
 歯を磨いた後でも味による幸福感を得続けられるよう、焼肉の味がする歯磨き粉を開発。
 焼肉味の歯磨き粉で、人は幸せになれるのかをテスト。

▼実験方式
 様々な歯磨き粉と焼肉のタレを混ぜ合わせて配合し、歯磨きを行う。
 タレではなく、実際の肉を配合することも検討されたが、予算の都合で見送りとなった。
 なお、当実験については外部から被検者を強引に招待し、同意のうえ実験に参加していただいた。


↑今回の実験にモルモッt被検者として参加していただいた、小林誠さん。
 「焦げ肉を美味しく食べる」実験の際、被検体として良好なデータが得られたのでムリヤリ抜擢。

4.検証前準備(試しに普通に歯磨き)

 実験を行うに前にまず確認しなくてはならないのが、タレを混ぜる前、つまりは生の歯磨き粉の味だ。
 今回用意した歯磨き粉は全4種類あるが、同じ歯磨き粉でも味は多種多様と思われたため、タレを配合する以前の状態で一度使用を試みることとした。
 検証方法は、今回のモルm…もとい被検者である小林誠さんに、用意した歯磨き粉を用いて普通に歯磨きをしていただくというもの。なお、口にニオイが残った状態からどれだけ効果が得られるのか、綿密にデータ採取を行う必要があるため、歯磨きで口臭が消えるごとに焼肉のタレを飲んでいただくことにした。
 そして、この実験で使用する歯磨き粉は、以下の通りである。


1.ピュオーラ

2.ガードハロー

3.デンティス

4.スミガキ

 小林さんを使って、各歯磨き粉の特性を調査。
 検証する項目は、歯磨き粉の色、磨いた後のさわやかさ、味、その他それぞれの特徴の4点だ。
 これらの項目を確かめるため、小林さんには4度も歯を磨いていただくわけであるが、これはまだ実験の前段階。いわば序の口である。この時点では、どうと言うことはないはずなので、早速歯磨きスタートだ。

実験前に小林さんの健康状態を入念にチェック。
最初から体に異常があると、この先の実験には間違いなく耐えられないので、おろそかにはできないステップである。




 

 研究員「さて、早速始めますか。まず歯ブラシに出してみましょう」
 小林氏「白ですね。厳密には乳白色か?」
 研究員「うーん、そうですね。まあ普通の色と言っていいでしょう。じゃ、早速磨いていただきます」

 シャコシャコシャコシャコ……

 研究員「さて、磨いた後の感想は? さわやかさは、いかがですか?」
 小林氏「スキっとします、ほんとに。さわやかな気分になりますね」
 研究員「それはそれは。で、味のほうは」
 小林氏「ミント味です。まあでも、完全に磨く前の味が消えたんじゃなくて、
     ミントと前の味が戦ってる感じがします」
 研究員「ほう…。他に何か特徴は?」
 小林氏「特有のミントっぽさとツブツブ感がありますね。あ、それと」
 研究員「それと何です?」
 小林氏「歯を磨いてるところを見られるのって、恥ずかしい…」
 研究員「はあ? そんな意見聞いてないですよ。いいから次行きましょう。
     ほら、早くタレ飲んで食後の状態の口にして。」
 小林氏「ああ、そうですよね…」

 色:白(乳白色)
 さわやかさ:スキっとする
 味:ミントと食後の口臭が戦っている
 特徴:特有のミントっぽさとブツブツ感



 

 研究員「はい。焼肉のタレを飲んでもらったところで、食後の口に戻りましたか?」
 小林氏「ええ、まあ……。でも、せっかく磨いたのに、また焼肉って……」
 研究員「いいんですよ、実験ですから。さあ、ガードハローを歯ブラシに出しましょう」
 小林氏「はあ、出しましたよ。白色ですね。でも、さっきのよりもさらに白い。真っ白だ」
 研究員「そのようですね。」

 〜再び歯を磨く小林さん〜

 研究員「では、さわやかさの程を教えてください」
 小林氏「さっきのピュオーラよりは劣ります。ドロドロしてて口中が歯磨き粉に侵食されていくみたいな……」
 研究員「お気に召さなかったですか?」
 小林氏「いや、でも粘着きが格段に消えますね。これはこれでいいかと」
 研究員「そうですか。味はどうでした?」
 小林氏「う〜ん、泡の味?」
 研究員「泡の味って何ですか。まあいいです、じゃあ特徴は?」
 小林氏「ベトっとしてて、すぐ溶けていく感じです。あとツブツブが無いのが気になりました」
 研究員「わかりました。じゃ、また焼肉のタレを飲みましょうか」

 色:白
 さわやかさ:ピュオーラよりは劣るが、粘着きは確実に消える
 味:泡の味(?)がする
 特徴:ベトっとしていて、すぐ溶ける。ツブツブが無い。



 

 小林氏「今度は白じゃなくて、緑色をしてますね。なんかそういう絵具みたい」
 研究員「緑色をした絵具、ですか。じゃあ早速、その絵具で歯磨きしましょうか」

 シャカシャカシャカシャカ……

 研究員「では小林さん、さわやかさは?」
 小林氏「それほど強力な味じゃないから、やさしく包み込まれる感じが……」
 研究員「ふむ。味を具体的に言うと?」
 小林氏「味というか香りかもしれないんですけど、L●FTのアロマコーナーにいる感じがしました。
     植物のいいニオイです」
 研究員「なるほど。」
 小林氏「あと、他に特徴的だと思ったのが、色ですね。
     見た目が絵具とか言っちゃったんですけど、よく考えたら初●ミクの色だなって」
 研究員「初音●ク……」
 小林氏「ええ。それと、おしゃれな味だと思いました。僕の知り合いで女性デザイナーのMTさんみたいな……」
 研究員「ちょっと例えが意味不明になってきたので、次いきましょうか。
     ていうか小林さん、知らない人にMTさんとか言っても通じないですよ」

 色:緑(の絵具)
 さわやかさ:包み込まれる感じ。弱め。
 味:L●FTのアロマコーナーにいる感じ。植物。
 特徴:初●ミクの色の感じ。MTさんみたいにおしゃれ。



 

 小林氏「うわぁ…黒い歯磨き粉だ。いや、灰色か…」
 研究員「珍しいですね、灰色の歯磨き粉って。さあレッツトライ」
 小林氏「えっと、これって大丈夫な商品なんですよね? 味とか…」
 研究員「そんなの知りませんよ。それを確かめるために、いま実験してるんじゃないですか」
 小林氏「うう、そんな……」

 〜しぶしぶ歯を磨く小林さん〜

 研究員「どうでしたか?」
 小林氏「見た目は怖かったですけど、控え目でやさしいさわやかさです。歯磨きする人のことが考えられてる」
 研究員「じゃあよかったじゃないですか。味は?」
 小林氏「ハ●チュウの青リンゴ。もっと上品な例えをするなら、
     神戸の山手に住んでるような30〜40代の貴婦人」
 研究員「はぁ。とにかくいい味だったというわけですね」
 小林氏「ええそうです。特徴はハイ●ュウのニオイが強いってことです」
 研究員「ふーん……」

 色:灰色
 さわやかさ:控えめで優しい
 味:ハ●チュウの青リンゴ。30〜40代の貴婦人を想起するらしい。
 特徴:ハイ●ュウのニオイが強い

 

 以上で検証前準備である、用意した歯磨き粉の特性調査が終了。
 本番の実験はこれからであり、これから始まる熾烈な実験で確かな成果が得られるかどうかは、研究員達の努力と被検体の体力次第と言えよう。

5.実験レポート(タレを混ぜて歯磨き)

 

 

 さて、下準備が整ったところで、いよいよ焼肉のタレと歯磨き粉を配合する作業に移行する。
 先述した4種類の歯磨き粉に対し、混ぜ合わせるべく用意したタレは、下記の3種類。

 A:エバラ「黄金の味」
 B:キッコーマン「わが家は焼肉屋さん」
 C:ミツカン「かおりの蔵丸搾りゆず」

 これらのタレを、先ほど紹介した歯磨き粉と、コップの中でかき混ぜて合成した。


とにかくコップに出しては混ぜるの繰り返し。

 そして、この3種類のタレを4種類の歯磨き粉と合成すると、計12通りのサンプルが完成。
 小林氏にはすべてのサンプルを使い、歯磨きを試していただく。

  1:ピュオーラ 2:ガードハロー 3:デンティス 4:スミガキ
A:黄金の味 1×A 2×A 3×A 4×A
B:わが家は焼肉屋さん 1×B 2×B 3×B 4×B
C:かおりの蔵丸搾りゆず 1×C 2×C 3×C 4×C

 


【実験1A】 ピュオーラ×黄金の味
 

 小林氏「あの、ホントにやるんですか? この実験」
 研究員「今さら何を確認してるんですか。当たり前ですよ。混ぜてサンプル作っちゃったし」
 小林氏「うう…いやだ……どうしてこんなことに…」

 シャコシャコシャコシャコ……

 小林氏「はぁはぁ…」
 研究員「済んだようですね。では感想を」
 小林氏「タレの味が全く残ってなくて、そのまま歯磨き粉です。
     こんな組み合わせじゃオエッてなるに決まってます。余韻を楽しむ以前の問題ですよ」
 研究員「それはいけませんね。他に言いたいことは?」
 小林氏「タレのゴマが混ざってて邪魔でした。なんだか焼肉と歯磨き粉の中間で、殴られ続けてる感じです。
     やっぱり吐き気を催すのみです」



【実験2A】 ガードハロー×黄金の味
 

 小林氏「ひいぃ、すでにビジュアルが最悪なんですけど」
 研究員「弱音を吐かないでくださいよ。あなたは肉ラボの貴重なモルモ…じゃなくて、協力者なんですから。
     グチる暇があったら、歯磨き粉のビジュアルでもレポートしてください」
 小林氏「べたべたしてる所に塩っからそうな物が混ざってて…そう、たとえるならマヨネーズ。
     歯磨き粉が完全に溶けてない。こんなので磨くなんてやだ……」

 
 シャコシャコシャコシャコ……

 研究員「感想は?」
 小林氏「磨くのにだいぶ勇気が必要ですけど、味は思ったよりよかったです。
     味が喧嘩せずに溶け合ってて、タレ歯磨きって感じです。タレの味がほんのり残っていて、
     ニンニクの味とゴマの食感を楽しめるのがよかったです」
 研究員「おっ、じゃあ実験成功ということで、いいんじゃないですか?」
 小林氏「いや、それにしてもビジュアルが最悪すぎます。せっかく味がよかったのに、もったいない」
 研究員「なるほど。見た目と味の両立は難しそうですね」



【実験3A】 デンティス×黄金の味
 

 小林氏「うっ、目に染みるニオイがしてますよ。ワサビみたい。
     もしくは、セブン●ィーンアイスのチョコみたいかも。ていうか、焼肉の味がしない」
 研究員「なるほど。見た目はどうです?」
 小林氏「まあ、さっきのよりはマシです。なんとか許容範囲で、キャラメルみたいな色ですね」

 シャコシャコシャコシャコ……

 研究員「はい、感想」
 小林氏「タレの味が強いですね。焼肉の中に時々貴婦人がチラつきました。やっぱりワサビの味がします」
 研究員「ほうほう。磨き心地はどうでしたか?」
 小林氏「最初の1Aよりはよくて、2Aよりは劣ります。
     磨きやすいんですが、シャバシャバしすぎていて、タワシで擦り付けられている感じがしました」



実験4A】 スミガキ×黄金の味
 

 小林氏「見た目が真っ黒で、かなり怪しいんですけど、ハ●チュウのいいニオイがします。
     ほんのり焼肉の香りがしますね」
 研究員「ハイチュ●のほうが勝ってるわけですか。
     実はタレを混ぜる時、すこし混ざりにくかったりしたんですが、まあ大丈夫でしょう」
 小林氏「ニオイは置いておくとして、見た目が不気味です。ねる●るねるねを思い出しました。
     あとバイクのオイルとか、自転車のチェーンとか。磨くとお歯黒みたいになるんじゃないですか?」
 研究員「小林さん、だんだん比喩表現の種類が豊富になってきましたね」

 
 小林氏「シャコシャコシャコシャコ……うっ…!」

 
 小林氏「これはダメ! 1Aの次に嫌だった!」
 研究員「それは残念。では具体的な感想を」
 小林氏「磨いたあとさっぱりして、しかも焼肉の味が残ったのはよかったんです。でも食感が嫌でした。
     ぬるいハイチュウを食べてるような。そう、夏場のハイチュウを歯に擦り付けている感じ。」
 研究員「そりゃまずそうですね。惜しい」
 小林氏「もう勘弁して……」



【実験1B】 ピュオーラ×わが家は焼肉屋さん
 

 研究員「では、感s」
 小林氏「ピュオーラって才能ねぇなァ……」
 研究員「あの、小林さん?」
 小林氏「スイカの種を噛んだ時の味かな。シブい。スイカの種。
     むせかえる感じがして、両方の悪いところだけが合成されてるみたい」
 研究員「不機嫌ですか?」
 小林氏「当然ですよ。まるでカメ虫でも食べさせられてるみたいで」
 研究員「は? 小林さんはカメムシなんか食べたことがあるんですか?」
 小林氏「いや、ないですけど。たとえですよ、たとえ。
     ああそうそう。見た目ですけど、タレと歯磨き粉がまぁまぁ混ざってて、やや固まってました。
     ニオイは…いいニオイと嫌なにおいの狭間みたいな。あと、レモンの香りがしましたね」



【実験2B】 ガードハロー×わが家は焼肉屋さん
 

 研究員「うーん、これもちょっと混ざりにくかったなぁ…まあいいや。小林さん、どうです?」
 小林氏「やっぱりマヨネーズっぽいですね。もうこれが焼肉味の歯磨き粉らしいビジュアルなのかもしれません」

 シャカシャカシャーー、(ピタッ
 小林氏「…………」
 研究員「小林さん? どうしました、大丈夫ですか?」

 
 小林氏「……」
 ………カシャシャカシャカシャカシャカ

 研究員「なんか途中で固まってましたけど、どうかしたんですか?」
 小林氏「いや、手を動かしてる時は焼肉の味がしたんですけど、ちょっと手を止めた瞬間、
     スイカみたいな凄まじくマズい味が。手を止めたら吐きます。売るとしたら注意書きに、
     手を止めないでって書かないといけない」
 研究員「吐くくらいマズいんですか」
 小林氏「ええ」



【実験3B】 デンティス×わが家は焼肉屋さん
 

 小林氏「水につけたチョコみたいだ。じゃあ磨きますね」
 研究員「今度は積極的ですね」
 小林氏「早く終わらせたいんですよ」

 シャカシャカシャカシャシャカシャカシャカシャカ

 研究員「お味は?」
 小林氏「デンティス塩味って感じで、塩っからかった」
 研究員「貴婦人は出てきましたか?」
 小林氏「出てこなかったです」
 研究員「MTさんは?」
 小林氏「不在でした」
 研究員「他に何か」
 小林氏「今度はわさびの味がしなかったです。にしてもわが家はダメ。シャバシャバしてて味が薄くなる」



【実験4B】 スミガキ×わが家は焼肉屋さん
 

 小林氏「真っ黒でドロッとしたビジュアル見てて思ったんですけど、これって『ご●んですよ』っぽいかも」
 研究員「ああ、そう言われたら、のりの佃煮みたいですね。わかめじゃん」
 小林氏「ニオイは地元の歯医者みたい。いいニオイ」
 研究員「あなたの地元なんて全然知りませんが、歯医者がいいニオイなんですか? まあいいですけど」

 シャカシャーーー、(ピタッ
 研究員「あ、また固まった。小林さん? 大丈夫ですか?」

 
 小林氏「……………………………………………………………………………………」
 研究員「今度は完全にダメか。いいですよ、吐き出してください」

 
 小林氏「 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 」





 





 研究員「マズかったですか?」
 小林氏「最悪!!! 手が動かない、動かせない、受け付けない!
     限界突破してる!! 何も考えられず思考停止!」
 研究員「ええええ、本当ですか!」
 小林氏「吐き気がブァーーーーってくる!」
 研究員「ブァーーーーですか!」

 小林氏「ブァーーーーですよ!」

 研究員「ブァーーーーー!!?」

 小林氏「ブァーーーーーー!!!!!」

 


【実験1C】 ピュオーラ×かおりの蔵丸搾りゆず
 

 研究員「どうです? 結構混ざって溶け込んだと思うんですが」
 小林氏「ポン酢に大根おろしを入れたみたいな外見ですね。ただ、サラサラしてて歯ブラシに絡まない」

 研究員「どうでした?」
 小林氏「ポン酢を飲んでるみたい。ピュオーラが時々顔を出す感じ。焼肉とはかけ離れています」
 研究員「焼肉ではないんですね」
 小林氏「あと、歯磨き粉というよりは、うがいするタイプのマウスウォッシュに向いてる気がしました」
 研究員「なるほど」
 小林氏「酸っぱすぎるのをなんとかすれば、しゃぶしゃぶ帰りの歯磨きに使えるかも」



【実験2C】 ガードハロー×かおりの蔵丸搾りゆず
 

 小林氏「しょうゆマヨみたいなビジュアルですね」
 研究員「かなりグロテスクな見た目だと思うんですが、大丈夫ですか?」
 小林氏「見た目に関してはもう慣れましたよ。ええ。しかも、歯ブラシに乗せやすくて使いやすかった。
     味もかなり良かったです。ゆずの味がする歯磨き粉で、なんの抵抗もなく磨けました。」
 研究員「じゃあ成功ですね!」
 小林氏「そうですね。磨く前のニオイが、美術室の絵具っぽくて気になりましたけど、おいしかったです」



【実験3C】 デンティス×かおりの蔵丸搾りゆず
 

 小林氏「けっこう混ざってますけど、デンティスの香りがすごく強いですね」
 研究員「このニオイを物に例えるなら?」
 小林氏「地元の歯医者の待合室……受付にいる歯科衛生士のお姉さんのニオイかな」
 研究員「やっぱり歯医者なんですね。ていうか、歯科衛生士のお姉さんのニオイって何……」

 
 シャカシャカシャカシャカ……

 研究員「磨いてる時、すごい表情してましたけど、どうでした?」
 小林氏「磨いてスッキリするんですけど、すごく塩辛かったんですよ!
     なんか、純度の低い川を泳いでいて、汚水に侵食されていくみたいな。
     そうそう、例えるならインド! インドの川! インダス川だ!
     インドの船乗ってる人が出てきた!! インド!!!」
 研究員「人体実験されすぎて精神が崩壊しはじめているようですね。
     次がラストですから、なんとか耐えてください」



【実験3C】 スミガキ×かおりの蔵丸搾りゆず
 

 研究員「佃煮っぽい。そして結構混ざりましたよ。目に刺激が来ますね。あと、やっぱりハイ●ュウ」
 小林氏「粘り気が強くて、ニオイが強烈ですね。なんかウイルスとか有毒物質を発してるみたい」
 研究員「菌でも毒でもいいから、とっとと磨いて終わらせましょう。我々もちょっと疲れてきたんで」

 

 小林氏「最初の拒絶反応がすごい。適応するとマシになってくるんですけど、Cの中では一番嫌です」
 研究員「ゆずとハイチュウの味はしましたか?」
 小林氏「いいえ。代わりにコガネムシとポン酢の味がしました。前半がコガネムシで、後半はポン酢です」
 研究員「表現がめちゃくちゃですけど、とにかくマズかったのは良くわかりました。ありがとうございます」


 これにて全12通りのサンプルを使った歯磨きが終了。
 小林氏に感想を伺い、どの組み合わせが最も違和感なく歯磨きでき、味を持続させられるのかを結論づける。

6.結果と考察

↑実験を終えて感想を訪ねる研究員と、質疑に応答する小林さん。

 12通りもの歯磨きをしていただいた末、小林さんが絶賛したブレンドが、次の2つである。

小林氏イチオシ! 歯を磨いても味が持続する組み合わせ
【2×A】ガードハロー×黄金の味
【2×C】ガードハロー×かおりの蔵丸搾りゆず


 以上のように、彼が薦める焼肉歯磨粉2種類は、いずれもガードハロー成分配合だった。
 実は、小林氏は当初、歯ブラシに出した生の状態のガードハローを眺めて「うわぁ、これ俺の嫌いなタイプの歯磨き粉だ! ツブツブが入ってないドロドロしたタイプは嫌なんだよなぁ…」
などと、苦言を呈していたのだが、タレを合成すると評価は一変。磨き終わって笑顔が弾ける様子も見られた。
 小林氏が嫌いだと語る「ドロドロ感」に食べ物の味が加算され、かえって好影響を与えたと思われる。
 焼肉の味もしっかり残ったらしい。
 なお、逆に小林さんが「絶対やめておいたほうがいい」と警告したのが、次の2種類。

小林氏悶絶! 絶対に止めておくべき組み合わせ
【4×B】スミガキ×わが家は焼肉屋さん
【4×C】スミガキ×かおりの蔵丸搾りゆず


 このように、スミガキが酷評される結果となってしまった。
 実際に彼に述べていただいたスミガキの感想によると、ニオイだけならタレを混ぜた状態でも好印象で、見た目も比較的マシなのだという。ただ、肝心の味はというと、純粋な歯磨きとしての良さが出すぎてしまっていて、タレのような味の濃い物と合成すると、喧嘩してしまうらしい。
 混ぜるとすれば、もっと薄味の食品が良いかもしれない。
 最後に、全12通りの実験結果と各種歯磨き粉の備考を、簡潔に表にまとめて記しておく。

  1:ピュオーラ 2:ガードハロー 3:デンティス 4:スミガキ
A:黄金の味 不可 優秀 可能 不可
B:わが家は焼肉屋さん 不可 不可 不可 論外
C:かおりの蔵丸搾りゆず 良好 優秀 可能 論外

(※) 優秀>良好>可能>不可>論外

【備考】
ピュオーラ:歯磨き粉単体はすばらしいが、歯磨き粉のツブツブがタレにはミスマッチ。
ガードハロー:とろみが良く、タレとの相性が良。ビジュアルの悪さが課題。
デンティス:味が根本的に違い、別ジャンル。おしゃれ層向き。
スミガキ:元の香り良し、見た目良し。ただ、混ぜると味が喧嘩する。

 

7.感想というか、注意とお願い

 さんざん歯磨き粉やタレのことをディスってしまった感はあるが、決して商品や製造会社を中傷する目的ではなかったという事だけはご留意願いたい。商品そのものは、どれもすばらしいと思った。




※この研究所はフィクションです。実在の団体・研究機関などとは一切関係ありません。