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焼肉後に残る「ニオイ」に関する研究 〜ファブ効果徹底検証〜

2015年8月18日
肉ラボ研究員:喜多 雄亮

1.問題提起

 焼肉は実に美味である。
 その分、少々出費がかさんでしまうのは玉にきずであるが、機会さえあれば、最低でも年に一度くらいは家族や会社の同僚、あるいは学校の部活仲間等々、大人数で肉を囲んでみたいと思う人が多いのではないかと思う。
 さて、そんな焼肉に行くたびに、金銭以外の事で悩ましい問題がもう一つ、多くの人の頭に思い浮かぶのではないだろうか。
 焼肉後、着ている衣類に染み込んで取れなくなった、強烈な「ニオイ」の事だ。
 たかがニオイと、あなどってはならない。肉を焼いた後に染み付いたにおいは数日たっても存続し続け、服を収納しているロッカーやクローゼット内の空気を汚染してゆくのである。そしてニオイは隣にある服へと伝染し、日々着て行く服が全て焼肉臭まみれになってしまう。
 ニオイをそのまま放置してしまうと、当然人間としての第一印象は大きくそこなわれる。結果として友人、恋人、仕事仲間、取引先との関係決裂につながってしまいかねないという、重大な問題なのだ。
 これを効率よく消臭するには、一体どうすればよいのか。多くの人を救うべく、肉ラボの挑戦が始まった。


最初の生肉を金網に乗せた瞬間から、ニオイとの戦いは始まっている。油断はできない。

2.仮説

 消臭に欠かせないのが、すっかり定番となったファブリーズ(以下、ファブと略称で表記)だ。
 本実験では、ファブ以外の消臭方法を新たに模索・開発するよりも、世間で最もオーソドックスとされている手法をさらに掘り下げて研究したほうが一般の関心や支持を得やすいし、何より一番効率的な消臭手法ではないかという仮説を立て、ファブによる消臭実験を行うものとした。

3.実験

【取材店】 焼肉やる気(四条河原町店)
【検証現場】 国立お肉研究所 ケミカルメタボロース情報センター 5F 29号試験室
【被験衣類】 肉ラボ公式白衣
【準備物】 ファブリーズ370mL(ふわりおひさまの香り)
【研究班人数】 2名(ほか協力者1名)

▼最終目標
 どの部位に、どのくらいの距離をとって、どんな角度で、どれほどの量
 ファブを噴射すれば、最も効率よく臭いを消せるのか、極めて綿密に検証


↑かなり怪しいビジュアルになっているが、ニオイを服におびき寄せる作業を真剣にやりすぎるがゆえ、
 こうなっているだけなので、ご了承いただきたい。

4.検証レポート

 実験を行うにあたって、まずは衣類に焼肉臭を付着させる必要があるため、研究員一同は焼肉屋へと向かう。
 今回の取材店は「焼肉やる気」。比較的求めやすい価格で飲食が可能で、カウンター席も充実しているという、一人でも気軽に来ることが可能な焼肉店だ。

 午後0時10分ごろ、我々は店へと入店する。店内は狭幅だが、かなり奥行きがある構造をしており、個室席が無いこともあって、全体的に広々としたスペースである。広い室内構造はニオイが充満しにくく、今回の実験を行うにはやや不利なコンディション。 さらに想定外だったのは、店全体の客の少なさだ。客席の大半を占めるおよそ30人分のカウンター席には、4〜5人くらいの客しかおらず、ニオイ自体があまり漂っていない。やはり平日の昼という時間帯はまずかったのかもしれない。夜に来ればニオイまみれの店内だった可能性もある。

 しかし、今さら後悔しても仕方がないので、ひとまず団体席へ着席しオーダーを開始。
 程なくして、最初の肉が運ばれて来たところで、 いよいよ実験開始だ。

最初に注文したのはツラミ(みそだれ)。牛の部位の一つであり、頰の部分であるとのこと。
焼いた時にちゃんと臭うのかどうかが、本実験での重要なポイントとなる。


 やはり生肉の紅と桜色のスジは何度見ても美しく、新鮮そうな見た目が研究員の食欲を掻き立てた。
 だが、我々は食事を堪能しに来ているのではない。 これはあくまで実験の一貫。凄まじいニオイを発生させてくれる事を肉に祈願しながら、高温状態になった焼き網へと生肉を寝かせにかかる。

本来ならば、これから肉を焼くのが楽しみすぎるあまり、ここで自然と頰がゆるんでしまう所だろうが、
ご覧の通り、肉ラボ研究員は常に真剣な表情で実験に臨んでいる。


「ジュウウゥゥ〜…」という音とともに、肉は瞬く間に褐色へ変化してゆく。
 しかし、焼き加減こそ順調なのだが、肝心のニオイが期待したほど漂って来ない。
 それほどニオイが感じられないまま肉が一枚焼き上がってしまったところで、意地でも服にニオイを付けようと、研究員がある奇策に打って出た。

 

※何をやっているのかよくわからないという人のために動画を用意しました↓

 

 少ない香りを少しでも服に誘導すべく、白衣に向けて風を扇ぐ作戦を決行したのである。
 側から見れば格好が悪すぎる実験方法。こんな工夫だけで本当にニオイが付着するとでも言うのか。いや、気休めにしかならないはずだ。そんなことは研究員一同、百も承知である。が、多少無理があっても諦めないのが肉ラボ。努力している姿勢だけは感じ取ってほしい。

 

他にもホソ(塩だれ)、コリコリ(みそだれ)、テッチャン(うま辛)などを相次いで注文。
なるべく安価なメニューを片っぱしから攻略した。

  

もはや何かの宗教に見えてくるが、決してそんなことはない。


 研究員たちの奇策はこれで終わらない。
 一度に数枚しか肉を焼かないせいで、ニオイが少ないのではないか。それならば、大量の肉をひとまとめにして一気に焼けば、ニオイの濃度を倍加させる事ができるのではないだろうか。と、発想したのである。
 その結果、行った行為がこの通り↓

※テッチャンです。


 運ばれてきた肉を、一皿丸ごと焼き網に敷き詰めたのだ。
 限られたスペースで大量の肉を焼こうとした結果、まるで絨毯のような絵面に。いや、何かの生物が集団生息しているようにも見えるので、軍団という形容が最適だろうか。

もちろんテッチャン軍団も、盛大に扇いだ。
その後も肉を焼いては手で扇ぐ作業を繰り返す。
この日ほど、うちわを持ってこなかった自分を懺悔した日は無い。

途中、服にどれだけニオイが付いているか、何度も確認を行った。


 店にいる間は、とにかく「焼く」「扇ぐ」「嗅ぐ」をひたすら反復し続けた。
 怪奇すぎる行為を継続すること約2時間。まことに不思議なことだが、店員に不審がられる気配は全くなく、一度も声をかけられたりはしなかった。 それが良かったのかどうかはわからないが、何はともあれ第一段階終了。
 このあとラボに戻り、ファブの効果を検証し始める。

もちろん、肉は全て美味しくいただきました。
ごちそうさまです。


 さて、取材を終えてラボの実験室まで戻ったところで、ここからが本番。
 とはいえ、ファブの存在がもはや世間一般に広く知れ渡りすぎていて、我々が検証するまでもなく、その効果は信頼されていると言ってよかろう。
 そこで今回我々は先述したように、どの部位に、どのくらいの距離をとって、どんな角度で、どれほどの量ファブを噴射すれば、最も効率よく臭いを消せるのか、公式ではあまり触れられない詳細な部分まで、極めて綿密に検証することとした。
 よくCMなどで、特に細かく狙いを定めずに2〜3回吹きかけているだけの様子が紹介されているが、効率よくニオイが蓄積しやすい箇所をピンポイントで狙撃すれば、より確実に焼肉臭を消せるのではなかろうか。という、実用的な論理を裏付けるための検証だ。
 ラボに帰った研究員たちは、早速ニオイが付着した白衣を壁にかけ、ファブを取り出す。

まずは、どれほどニオイが残っているか確かめる研究員。
吊り下げている白衣がクチャクチャで、だらしがないという点には目を瞑っていただきたい。



実は、これくらい接近しないと臭わないくらい、ニオイが薄くなっていたのだ。
変態に見えるかもしれないが、この際仕方がない。


 持ち帰った被験体の白衣を確認したところ、全体的にそれほど激しいニオイは付着しておらず、入店したころから感じていた不安がやや的中する形となった。
 だが、全体的に見てニオイが少なかっただけであり、
全くニオイが無かったわけでもない。

 ニオイを付着させるために出費した予算を絶対に無駄にはできないと、研究員が執念を燃やして隅々までニオイを嗅いだ結果、比較的ニオイが蓄積している(しやすいとも推測できる)箇所を発見した。それが、以下の図の通り。




 ご覧のように、服の表面よりも、どちらかというと内側とそこに近い部分にニオイが残っていた。
 意外な結果ではあるが、衣類の表側が常に外気にさらされる事を考慮すれば、必然的な結果だったのかもしれない。

 具体的なニオイの発生源が判明したところで、ようやくファブ噴射開始。まずは試験的に、白衣全体に向けてファブを試みる。

距離を置き、全体に向けて噴射。


 離れた所から数回だけ射出したのだが、それだけでもかなり強烈な「おひさまの香り」が鼻腔を突く。
 まさかと思いながら白衣に鼻を近づけたところ、なんと服全体のおおまかなニオイが、全て吹き飛んでしまっていた。 なんという威力だろう。これが、ファブが広く世間から支持される理由なのか。
 だが、粘り強く焼肉臭が残っていないかどうかを鼻で吟味したところ、先に述べたニオイが蓄積しやすいポイントには、かろうじて焼肉の香りが残っていた。
 危うく、試し撃ちだけで実験終了になるところだったが、なんとかそれは回避できた研究員たちは安堵の表情を浮かべながら、残ったニオイを消しにかかる。

服の袖付近
吹きかける際、ファブが手にかかってしまうのが難点。


続いて服の中。
ここまで徹底したファブは、あまり一般的にはなされていないだろう。


そしてやはり嗅ぐ。


 これにてニオイは完全に消滅し、実験が終了した。

5.結果と考察




 という実験結果になった。
 今回の検証で我々が驚かされたのが、ファブ一回あたりの効力である。 繰り返し具申するが、本当にたった一発ファブしただけで焼肉のニオイが消滅し、実験が一瞬で終わってしまうところだったのだ。これだけ強力な香料ならば、クローゼットの中にファブの香りを充満させ、その中に焼肉臭がこびりついた服を入れて待つ方法でも、焼肉のニオイは十分消せるのではないかと推測する。
 ただ、やはり服の内側というのはメンテナンスが行き届にくい部位でもあるので、ニオイが残る可能性について普段から十分な警戒をするべきだろう。
 また同時に、ファブだけに頼らず、多少面倒でも定期的に洗濯することを推奨したい。
 ニオイが残っていない服は、いつ着ても気持ちがよいはずだ。

 

6.感想

 なんか、ガラにもなく真面目なオチで終わってしまった。




※この研究所はフィクションです。実在の団体・研究機関などとは一切関係ありません。