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焼肉の匂いがするアロマキャンドル(タレアロマ)の実作

2015年6月3日
肉ラボ研究員:喜多 雄亮

1.問題提起

 我々はこれまで、肉の焼ける音および、見た目の変化についての研究を行ってきた。
いずれも、結果こそ予想もしていない結末になりはしているが、実験そのものは無事終了している。当研究所の到達目標である、普段気にも留めない肉の謎や魅力の解明というところに、確実に一歩前進したといえるだろう。
だが、焼肉の肝心な要素を検証し忘れている。焼肉の醍醐味の一つ、タレの香りである。
 褐色に焼き上がった肉を浸した瞬間、湯気とともに鼻孔まで侵入し、食欲を掻き立てるタレの匂い。いい匂い(IN2)の成分が大量に含まれたそれは、嗅いだだけで人の心を幸福にさせる。だが、この匂いを堪能するためには、わざわざ肉を買って焼肉をするか、焼肉屋まで足を運ぶ必要があり、どちらも経費と手間がかかってしまう。
せめて匂いを嗅ぐ事くらい、安くて手軽に済ませられないか。
 今回の実験はこれをテーマに行うものとする。

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2.仮説

 先程述べたように、タレの匂いの効果はすばらしい。問題はこの香りのみを、肉を焼かずしてどう味わうかという点である。この検証の参考になりそうな事例を隈無くリサーチした結果、一つの製品が目に止まった。
 芳香剤を加える事によって香りを付加したロウソク、通称アロマキャンドルである。
 元々この製品は自室などに設置し、ロウソクから発せられる香り(本来なら柑橘系やフローラル系の匂い)を味わいながらリラックスするという目的で作られたものであり、その綺麗な見た目とともに現在も人気を博している商品だ。
このように、このアロマキャンドルは人の心情や情緒に直接働きかける効能を有しており、嗅ぐだけでリラックス効果が得られるとの事で、これを応用すれば、嗅いだだけで焼肉を食べている気分になれるキャンドルが、開発できるのではないかという仮説を立て、果てには我々自ら実作するに至った。

3.実験方法

【最終目標】焼肉のタレの匂いがするキャンドル(タレアロマ)の開発、完成
【用意する物】焼肉のたれ、紙コップ、蓋付き空き缶、ロウソク、カッター、赤いクレヨン、割り箸、濾紙
【大まかな製造法】粉状にしたロウソクと焼肉のタレを配合 ほか、着色料として赤いクレヨンを一部に添加
【研究班人員数】2名(協力者数名)
【実験期間】丸1日

今回の実験材料。
すでに用意されている物の組み合わせが不可解だが、
果たしてまともな結果が得られるのだろうか。

※アロマキャンドルを制作するのにあたり、材料数に余裕があったため単数製造ではなく、ある程度の個体数を大量生産することにした。なお、より綿密なデータを得るため、上に表記した製造方法を応用しつつ、配合する成分の割合をそれぞれ個別に設定したうえで、どの個体が最も効果を発揮するのかもテストするものとする。

4.検証現場レポート

まずは、おおまかな製造過程を写真とともにお伝えする。

最初に、ロウソクを粉々にして紙コップに投入。これまでと比べると比較的真面目そうな写真に見えるが、
左下に写った焼肉の文字を見ると「やはりか」という気分になる。

今回も真剣な表情で作業に取り組む研究員。
なお、後ろの背景がどう見ても研究室などではなく、カフェっぽいのは気にしてはいけない。

続いて、赤色のクレヨンを粉状にして投入。個体によっては、この工程を省くパターンもあった。

そして、いよいよ本命のタレの出番。
液体以外のもの(ゴマなど)まで混入すると製造に失敗してしまうので、一旦別の紙コップでろ過を行った。
この段階ではまだロウソクとはブレンドしない。

粉々にしたロウソクは、レンジでチン。ファミランクという文字が目立つが、特に関係はない。

それをかき混ぜて液状にし、適当な形状の固形にする。
一度だけでは上手くいかず、もう一回チンして混ぜる作業を繰り返した。

タレとロウを配合するタイミングは、個体によって様々。
詳細は割愛するが、すでに製品がゲテモノ化しようとしている事くらい、写真でお分かりいただけるだろう。

これらに少しづつアレンジを加えながら、計6個のキャンドルを量産するに至る。
*色調の差は、着色料添加の有無と、タレの濃度によるもの。

早速、完成したタレアロマに火を灯し、ついに匂いの検証が開始される。
思った以上に綺麗で、洒落たビジュアルになっているのは喜ばしい事なのか、
はたまた腹立たしく思うべきか、どちらなのだろう。

一通りキャンドルに火を灯し終わり、データを採取し始める研究員。



 そして、これから匂いを確認しようとしていたその時、一部のタレアロマに想定外の異変が生じた。

変化が生じたのは製造番号No.5とNo.6の外見である。 他の個体と同じく、チャッカマンでそれに点火したところ、
炎の周囲に淡い光が浮かび上がるという、特異性のある発光が観測できた。


 この光(以下、これを「タレオーラ」と呼称)の発生原因は不明であるが、タレの分量や配合方法が関連している事は確実なのではなかろうか。匂いとは別の新たな謎が、思わぬところでまた見つかった。
 タレオーラの発見は、今回の実験における予想外の副産物であり、さらなる謎の拡大、そして我々肉ラボの果てなき好奇心をより高揚させる事につながる発見だったと言えよう。

実験は夜になっても続いた。宵闇に浮かぶ紅とベージュが無駄に美しい。

そして、光の目の前で熟考するこの研究者の姿である。
少し撮影のアングルを変えただけで、かなり怖い絵に。

だんだん、やばい光景に見えてきた。

………………………………。

「            」

このようにして、タレアロマの匂いに関する調査は終了した。

5.結果と考察

 深夜まで続いた研究の末、最も高濃度のいい匂い(IN2)を放出し続けたのは、製造番号6番の「一日中たれに浸し続けた」アロマキャンドルだった。
火を消した状態でもタレの香りはしっかりと漂うことから、その強力さがうかがえる。
そればかりか、この個体はタレオーラまで発する事によって、タレの未知なる可能性を我々に示した。本実験の最高傑作だったと言えよう。


製造番号No.6《一日中タレにつけたタレアロマ》


 そう、確かに効能はあった。部屋一帯に焼肉のいい匂い(IN2)が充満し、まるで焼肉を目前にしているかのような催眠に陥ってしまう。ただし、やはり実際に胃袋が満たされるわけでもなく、タレアロマが燃え尽きてしまった後は、使用前よりも空腹感が増大するという側面があり、これは、極めて危険な症状に陥る前兆とも考えられる。
匂いによる幸福感の持続時間が短かいことから、一旦使用を始めるとさらなる快楽を求めて、もう一回、さらに一回と、タレアロマから抜け出せない中毒的な症状が現れる可能性も否めない。ただし、これはまだ仮説の段階であるから、まだ予断を許さない。
 だが少なくとも、一定時間の幸福感を得られることは実証でき、当初の仮説は正しかったと言えるのではなかろうか。
 なお、実作した今回の製品は、研究所公式サイトで一般向けに販売することが決定した。
肉科学の最先端をその身をもって体感したい方は一度購入し、効果を確かめられてはいかがだろうか。

6.感想

より焼肉を 普通に食べたくなった。



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※この研究所はフィクションです。実在の団体・研究機関などとは一切関係ありません。