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肉プリクラの実践 ~プリクラの力で生肉は生まれ変われるのか~

2015年5月28日
肉ラボ研究員:喜多 雄亮

1.問題提起

 生肉。そのまま調理せずに食べれば、確実に食中りを起こしてしまう。だが、生肉の見た目は決して毒々しいものではない。
 例えば、スーパーで陳列されている肉。肉コーナー一面に広がる、健康的な赤色と、きめ細やかな霜降りの白色によって引き起こされるエクスタシーが、「この肉は調理後、どれほど素敵な味を持つ焼肉に変身するのだろう」という想像を、購入者に掻き立たせる。それほど焼く前の肉ビジュアルは芸術的なのだ。見た目という点において、焼く前のほうが肉は綺麗かもしれない。
 我々はこの生肉ならではの魅力を捨て置けないと考え、工夫次第でどれほど焼く前の肉を魅力的にできるかという検証を開始した。

2.仮説

 生肉の見た目をより魅力的に。どうすればこの目標を達せられるか検討を重ねた結果、我々は一つの写真撮影用マシンに着目した。1995年に開発され、現在に至るまで女性に高い人気を博してきたプリントシール機、通称「プリクラ」である。
 このメディアは本来、写真加工のバリエーションの高さと、気軽に使える、友達と交換できるなどといった汎用性の高さから高度に発展した媒体であるが、目的の根幹にあるのは写真を加工して自分ないし自分達を、他人に向けて素敵にアピールするという事だ。つまり、人がプリクラを行う目的と、今回の我々の研究における目標は共通しているという解釈もできる。
 よって我々は、プリクラで生肉を撮影すれば肉がより美しい見た目になるのではないかという仮説を立て、実験を行った。


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3.実験

【最終目標】プリクラで撮影した肉の盛り具合と、変化の調査。
【取材場所】girlsmignon(河原町オーパ7F)
【被写体】肉
【使用プリクラ機種】GYZA3
【撮影用小道具】天蚕糸、長めの棒(傘)
【取材班人数】3名(ほか協力者多数)
【実験時間】約1時間

●長めの棒と天蚕糸を用意し、生肉を吊るした状態でプリクラ撮影。
●どの背景が生肉とマッチしているのか? どの落書きで肉が盛るのか? 写真加工機能をテスト。
●完成したプロダクトのクオリティや印象をチェック。


今回の取材現場全景(河原町オーパ7F、girlsmignon)
誰がどう見ても、肉を撮影する場所ではない事は確かだ。

4.検証現場レポート

 一週間の労働をやり終えた人々の笑談が飛び交う、金曜夜の繁華街。
我々は笑顔溢れる人混みをよそに、多数の同伴者を伴いながら粛々と取材現場に向かった。
 取材店があるのは大型商業施設「OPA」の7階。
ビルの見た目や内装は、いかにも女性向けな、清潔感のある洒落たデザインになっている。心なしか香水の匂いもしていて、我々がこれから実行せんとしている事を、本当にここでやってしまって良いのか。という背徳を禁じ得ない。
ノリの良いBGMが流れるエレベーターで7階へ。そしてフロアの奥のほうへと進んでゆくと、 ロケ地に到着した。

「ここは女の子がかわいくなれる場所。」
だが、我々が美化しようとしているのは女性ではない。生肉なのだ。


 店内を彩るのは、シャレオツなメイクを派手にキメた美女と美女、そして美女。果たして生肉は、彼女らのように美しく変身できるのであろうか。
 さっそうと白衣に着替え、実験用の肉を取り出す研究メンバー達。
 前人未踏の実験が、いよいよ始まる。

「抜群の盛れ感はそのままに肌質を改善。より自然でキレイな白肌で写りの良さがさらにアップ。」
なるほど、肉を撮影するのに期待が持てそうである。


 肉に天蚕糸が通っている事を確認し、傘につり下げる作業を開始。パック開封後、強烈な生肉の匂いが室内に充満し、建物全体に広がっていた香水の匂いが(この一帯だけ)かき消されてしまった。
 他にも途中、汁が床に垂れたり、天蚕糸が絡まったり、肉が落下したりと、数々の困難が待ち受けていたが、どうにか撮影まで漕ぎ着けた。


 

左上:真剣な眼差しの研究員。そして肉。かなり怪しいシチュエーションだが、皆真面目なのは間違いない。
左下:綿密に写真の構図を計算しながら、ぶらさげる位置を調整する研究員達。失敗は許されない場面だ。
右:プリクラ機を操作する研究員。その背後には浮遊する肉が。奇妙だが緊張が走る場面である。


 そしていよいよ撮影へ。
「撮影するよ」という機械の催促に応じて、カメラの前に肉をかざす。
 3…2…1…ーパシャリ。

こんな風に撮れたょ☆ (2人同時撮影)
※写真ではわかりにくいが、なかなかの出来映えだった。


 ボックス内の異様な熱気と肉の臭気に苛まれながらも、どうにか撮影が終了。この段階で店員のお姉さんに不審がられていないか、かなり心配だった。だが、まだ検証は済んでいない。肉への落書きという試験が待ち構えているのである。
 これまで世界を見渡しても前例が無いであろう、この実験。ここまで来たならば、もはや引き返す余地などあるまい。我々は躊躇なく、撮れた肉に落書きを開始した。
 以下、落書き作業の様子を、写真でご覧いただきたい。

「好きな目を選んでね★」 そもそも肉に目があるのかどうかなど、誰も知る由も無い。

明るさ=美白。美しいピンクだ。見事である。

被写体が食肉なので、食べ物の背景画像を選択。妙な組み合わせもあるが、気にしてはならない。

「EAT MEEEE!!」という文字の自己主張が光る。

本当にCRAZYすぎて、もはや意味不明だ。

だが、研究員達はいたって真面目。緊張した趣で指示を出すリーダーと、それに応じる班員。

右:犠牲になった牛達に哀悼の意をこめて、肉の周囲に十字架を散りばめる研究員。
左:生肉が「ALL I NEED IS PIZZA」と、ピザについて語っているのが、この上なくシュール。

なかなか良い感じになってきた。


プリクラならではのバリエーションに富んだ落書き機能を駆使し、肉は見る見るうちに変身していった。
なお、今回撮影対象となった肉は以下の通り。
   
※すべて未加工の状態です。

 

5.結果と考察

ついに完成!!


 いかがだろうか。生肉の周囲に様々な要素を盛れるだけ盛り込んだ結果、かなりド派手な印象に。
 当初は今回の実験も、試験内容が有する特異性と奇異性のため、スケジュールを全て計画通りに遂行する事は困難と思われた。ところが蓋を開けてみれば、多少のアクシデントこそあったものの実験自体は滞り無く進行してゆき、全予定を消化。多彩なデータ採取も行えた。進捗のペースという意味では、前回の肉の音声に関する実験より本実験のほうがより良好だったといえよう。
 盛り具合や変化は画像を見ての通り、生肉による自己主張の過激さを感じさせるビジュアルとなった。やり過ぎ感のある盛り具合かもしれないが、その分凄まじい変化がついたと思われる。


 さて、こうして完成した「肉プリクラ」だが、当初の目的であった「肉の盛り具合と、変化の調査」という観点から見てどうだろう。メインの生肉と、無秩序に配された意味不明な文字列。そして肉より目立つ背景の食べ物が、それぞれの個性を掛けて殴り合う事によって、プリクラを目にした者の脳を混乱させる見た目となっているのではなかろうか。もしこの問いを50人にしたうえ、このプリクラを見せ、大半から「Yes」の回答が帰ってくるならば、それは「盛り過ぎ」ているし「変化し過ぎ」ている事を意味する。
 ただの写真加工と落書きだけでこの変化のつきよう。それほどプリクラには恐ろしい魔力が隠されているのだ。よって、人物はもちろんのこと、それ以外の物をプリクラ撮影する時は十分注意されたい。ほんの少しのプリクラ効果で、ただの写真がとんでもないゲテモノに化学変化してしまう危険性も含まれているという事を。
 なお、食べ物を祖末にするのは好ましくない。

 

6.感想

 やはり、肉は普通に食べるのが一番だと思った。



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※この研究所はフィクションです。実在の団体・研究機関などとは一切関係ありません。